当サイトについて
人生最後まで、安全に口から食べるために完全側臥位法の普及と定着を目的にしたサイトです。
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論文・書籍等の紹介
重度嚥下障害患者に対する完全側臥位法による嚥下リハビリテーション―完全側臥位法の導入が回復期病棟退院時の嚥下機能とADLに及ぼす効果
福村 直毅 , 牧上 久仁子 , 福村 弘子 , 田口 充 , 大澤 麻衣子 , 茂木 紹良
要旨:〔目的〕筆者らは嚥下障害患者の摂食時の体位について検討し,フラットなベッド上で側臥位(完全側臥位)をとると重力の作用で中~下咽頭の側壁に食塊が貯留し,誤嚥リスクが減少することに気付いた.重度嚥下障害患者に対し,回復期リハビリテーション病棟で完全側臥位での経口摂取・直接嚥下訓練を行い,嚥下および身体機能に対する効果を検討した.〔方法〕2004年6月~2011年7月までに鶴岡協立リハビリテーション病院回復期リハビリテーション病棟に入院時に藤島嚥下グレード1であった60歳以上の患者を対象とした.悪性腫瘍など嚥下障害と無関係の急変例と,先行期・口腔期の障害が主で咽頭期に障害がなかった症例を除外した23名を,完全側臥位法を実施した患者(完全側臥位群)と実施しなかった患者(対照群)に分け,FIM利得(退院時FIM-入院時FIM),退院時の藤島嚥下グレードについて検討した.〔結果〕完全側臥位群9例,対照群14例の計23例について分析した.藤島嚥下グレードの中央値は完全側臥位群7点,対照群4点と,完全側臥位群で有意に高かった.発症直前および入院時のFIM得点は両群で差がなかったが,退院時のFIM利得は完全側臥位群40.1,対照群15.9と完全側臥位群が大きい傾向があった.〔考察〕完全側臥位法は重症嚥下障害患者のリハビリテーションに効果があった.本法は咽頭の解剖学的構造に重力が働くことを活かした,再現性に優れた嚥下補助技法である.
新しい嚥下リハ「完全側臥位法」の理論と実践他、論文等
動画による学習のすすめ
完全側臥位を実践している医療従事者が、医療従事者と介護従事者のために
わかりやすく説明します。
まずはここから
完全側臥位法入門
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VF,VE検査できない時の安全な食べ考え方
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食後の体位について(逆流した時の安全性)
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フィニッシュ嚥下について(喉に溜まっている食材を安全な水またはとろみ水に置き換える)
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完全側臥位姿勢調整
咽頭内部の構造
完全側臥位の理論
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透明咽頭モデルによる咽頭内部の流体の流れを解説
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誤嚥させないためのVE評価のポイント
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安全に食べるための食材の考え方とフィニッシュ嚥下について
基本調整動画
完全側臥位の姿勢調整
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完全側臥位姿勢調整(仰臥位から、完全側臥位に調整するときのポイント)
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完全側臥位で食事介助するときのポイント
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完全側臥位で自力摂取するときのポイント(麻痺側を下にしても食べられる場合がある)
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完全側臥位頚部回旋(喉への送り込みが不十分な時、のどに食べ物が残りやすい場合、食道の開きが不十分な場合に安全に食べられる姿勢)
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前傾座位のポイント(ラーメンやうどんをすする時の姿勢は、むせにくい姿勢です。)
最新の嚥下治療はここから
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喉頭堤防機能障害(こうとうていぼうきのうしょうがい)完全側臥位法を理解するための必須項目
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誤嚥させないためのVE評価のポイント
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いろいろな姿勢によるVE読影
VE(嚥下内視鏡)動画による学習
Zoomセミナーのポイントを
2~8分の動画にわけて学習
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離床の捉え直し
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吸引の是非
今後増やしていきます。
口から食べ続けるためのワンポイント動画
完全側臥位を実施している医療従事者が、これから学ぶあなたにわかりやすく解説しています。
また、少しわからないところが出てきたあなたに、ヒントとなる動画があるかもしれません。
今後も動画を増やしていく予定です。
当サイトの目指すもの
今、医療・介護現場が混乱しています。
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身体は、元気。意識もはっきりしている。会話は、成立している。歩くこともできる、走ることもできる。唯一、飲み込むのに問題があり、誤嚥リスクがあるという理由で、口から食べる事を禁止される。
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骨折で入院中に、飲み込みに問題があり嚥下検査をすると誤嚥リスクがあるから、口から食べることを禁止される。入院の前日まで、ご家族と食卓を共にしていたので、ご本人やご家族は口から食べられないことを理解できず戸惑う方もおられます。
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人生の終末期に、好きなものを口から食べられない。水も飲めない辛い思いをされている方がおられます。その姿を見るのがつらいご家族がおられます。
この混乱は、今までの、嚥下治療の限界から生じているかもしれません。誤嚥および窒息という訴訟問題を回避するため、医療現場が嚥下治療や口から食べることに委縮しているのではないでしょうか。完全側臥位法は従来の考えや姿勢と反することが多いです。今までの常識を覆すブレークスルーになると確信しています。
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のどの構造を知り、重力を利用すれば誤嚥できない姿勢が作れることが分かってきました。のどの構造は、今まで知らなかっただけです。ポイントさえ押さえれば、誤嚥性肺炎予防と口から食べることが両立できる方が多くおられます。
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ここ数年、誤嚥性肺炎により、口から食べることを禁止される高齢者が増加しており、入院中に口から食べることを禁止されると、退院後に在宅や施設で水すら口から飲めずに亡くなることもある。
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そのような方に訪問看護や訪問リハビリ、訪問診療などで口から食べさせる食支援活動が行われつつある。その時の姿勢は、座位や背中を倒した姿勢が多く、重力によって、唾液や食材は気管の方に移動し、むせたり誤嚥リスクが生じている。真横になる完全側臥位では、気管より下の喉の側面に、唾液や食材が溜まるので飲み込むまでむせたり誤嚥しにくく、むせることなく食べられる場合がある。
誤嚥しにくいのどの使い方
真横になる完全側臥位では、気管より下の喉の側面に、唾液や食材が溜まるので飲み込むまでむせたり誤嚥しにくく、むせることなく食べられる場合がある。
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完全側臥位法の
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当サイトの運営は、
株式会社甲南医療器研究所(代表取締役 前田悟)が行なっております。掲載しいている情報は、完全側臥位法を実施している医療従事者によって、作成されたコンテンツです。
摂食嚥下との関わり
株式会社甲南医療器研究所
代表取締役 前田悟
・平成19年4月~平成26年3月 企業派遣により、兵庫県立福祉のまちづくり研究所の非常勤研究員として、高齢者や摂食嚥下障害者に対する食事支援機器の研究開発を行う。
最も多く取られている誤嚥予防姿勢の頚部前屈姿勢は、明確な基準がないため再現性がなく毎回同じ姿勢が作れないことが問題です。だれがやっても同じ安全な頚部前屈姿勢を作ることを目的に研究開発を行った。
頭頚部調整装置(イージースワロー)は、ベッド上で顎引き姿勢の頚部前屈が自在にできる画期的な商品と藤島先生が仰ってくださり、イージースワローと名付けていただきました。しかし、研究チーム以外の医療機関に持ち込むと、微妙な調整がいつまでもできるので、【飲み込める頭頸部姿勢はこれだ】と、だれも自信をもって調節できないことが分かった。頚部前屈姿勢に明確な基準がないことを再確認させられる結果となった。
このことがきっかけで、頚部前屈を再現することで誤嚥を防ぐ考え方をやめようと決心した。摂食嚥下との関りをやめようと考えていた時に、横になったら誤嚥せずに食べられる「完全側臥位法」を教えていただき福村直毅先生と知り合った。
完全側臥位法との出会い
健和会病院での見学
2015年初冬、長野県飯田市にある健和会病院へ見学に行きました。診察室で完全側臥位で診察しながら、ご家族に経過を話されたり、病棟では完全側臥位で内視鏡検査をしたり、その場で詳しく説明していただきました。
病院から出た瞬間にハンマーで頭を打たれた衝撃が走ったことを覚えています。また、得も言われぬ脱力感と今まで何をしてきたのかと後悔の念がこみ上げてきました。
その後、福村先生の指導の下、完全側臥位の普及のためのホームページ(https://www.easyswallow.jp/)を作成、完全側臥位をしっかりとれるサポート商品の開発、完全側臥位を学習できる教育DVDを作成。
誰もが安全に楽しく口から食べられる人生を全うするには、完全側臥位法を実施されている医療従事者によるコンテンツ作成とセミナーによる学習が近道です。完全側臥位法を実施されている医療従事者にコンテンツ作成の協力をお願いして、このサイトを運営することにいたしました。
完全側臥位法の発見者
福村直毅医師
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2007年 鶴岡協立リハビリテーション病院在職中に完全側臥位法を発見し、治療に導入。鶴岡市・山形県での肺炎死亡率低下に貢献。
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2012年 論文「重度嚥下障害患者に対する完全側臥位法による嚥下リハビリテーション : 完全側臥位法の導入が回復期病棟退院時の嚥下機能とADLに及ぼす効果」を発表。
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2015年 医療・看護・介護で役立つ嚥下治療エッセンスノート発刊
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2015年に健和会病院に移り、長野県飯田地区を中心に最新の嚥下治療を全国に発信。
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2018年 論文「回復期リハビリテーション病棟において、補中益気湯は脳血管障害後遺症患者の炎症性合併症発症率を抑制する―多施設ランダム化比較試験による検討―」【Jpn J Rehabil Med 2017 ;54:303-314】が日本リハビリテーション医学会論文賞の最優秀論文賞を受賞
1998年 山形大学卒業 同大学脳神経外科入局
2001年 庄内医療生協
2002年 長町病院リハビリテーション科
坂総合病院リハビリテーション科
2003年 聖隷三方原病院リハビリテーション科
秋田県立リハビリテーション・精神医療センターリハビリテーション科
2004年 鶴岡協立リハビリテーション病院リハビリテーション科 科長
2011年 同部長
2015年 社会医療法人健和会健和会病院 健和会総合リハビリテーションセンター長
2007年 完全側臥位法を発見され、論文、書籍、講演等を行い普及と定着を行っている。