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病院から言われた姿勢の通りに過ごしているのに、誤嚥性肺炎や熱発を繰り返しているのはなぜ?

執筆者の写真: maedaeasyswallow
maedaeasyswallow
10月6日
読了時間: 5分

更新日:5 日前




このような悩みの相談を受けました

「これからもずっと誤嚥性肺炎を繰り返してしまうのでしょうか。

なぜ繰り返してしまうのか、何に原因があるのかをどうしても知りたいです」


この方の状況は

茨城県水戸市に住む70代のご夫婦の事例です。

仕事中にご主人が脳梗塞で倒れて入院し、経鼻経管栄養(鼻からのチューブ栄養)となった状態で退院されました。入院中に看護師からベッド上での姿勢指導を受け、退院後も訪問看護師や理学療法士とともに様々な体位調整を行いましたが、微熱が続き、誤嚥性肺炎を発症してしまいました。

結果的には、これから話す内容を正しく理解し対処をして、再入院がなくなりました。


ご家族の疑問・お悩み

「夫は体調を崩し、誤嚥性肺炎で入院しました。

治療を終えて退院する際、看護師さんからベッド上での過ごし方や姿勢について指導を受けました。

『日中はギャッチアップ(背上げ)を60度程度にし、食事の時は45度程度に調整すること。就寝時はギャッチ角度を20度程度にするように』と言われました。


教えていただいた通り、細心の注意を払って過ごしていました。

しかし、発熱して受診すると、再び誤嚥性肺炎を起こしていたのです。

再入院中にも誤嚥性肺炎を繰り返してしまい、最終的に鼻からチューブを通す経鼻経管栄養の状態で退院することになりました。

『次に誤嚥性肺炎を起こしたら命に関わる』と言われ、本当に不安でいっぱいでした。


就寝時の誤嚥を防ぐことが重要だと説明を受け、訪問看護師さんと相談しながら背上げ角度を15度に下げたり、理学療法士さんに枕の高さを調整してもらったりしました。しかし、微熱は治まりませんでした。抗生剤で一時的に熱は下がるものの、病院で指示された姿勢を守り、専門職の方々と工夫を重ねても、結局は誤嚥性肺炎で再入院となってしまいました。

誰を、何を信じればよいのでしょうか。

これからもずっと誤嚥性肺炎を繰り返してしまうのでしょうか。

なぜ繰り返してしまうのか、何に原因があるのかをどうしても知りたいです」



なぜ誤嚥性肺炎が起こるのでしょうか?今回は原因と解決策について解説していきます


断面図で見る誤嚥の仕組み


誤嚥性肺炎を繰り返す主な原因は、『唾液の誤嚥』にあります。

ここでは、喉の断面図を用いて誤嚥が起こる仕組みを解説します。

病院で一般的に過ごされているファーラー位(ギャッチ角度20度)での喉の断面図になります


ファーラー位(ギャッチ角度20度)
ファーラー位(ギャッチ角度20度)

喉の断面図
喉の断面図

唾液は口から喉へ送り込まれ、重力に従って気道(肺の入り口)の方向へ流れていきます。通常、食道は閉じているため、嚥下(ごくんとのみ込む)反射が起きない限り唾液は食道へ入りません。唾液は1分間に約1cc分泌されており、気道の手前には約5ccの唾液が溜まるスペースがあります。嚥下反射が起きないままこのスペースから唾液が溢れると、気道に入り込んでしまいます。この時に飲み込めないと、むせることなく誤嚥してしまう『不顕性誤嚥(むせない誤嚥)』が発生します。


一般的な医療機関では仰向けの姿勢(ファーラー位(ギャッチ角度約45度)・セミファーラー位(ギャッチ角度10~20度))が採用されているので、ギャッチ角度に問わず、誤嚥性肺炎の可能性が無くならないのです。



透明喉モデルで解明:誤嚥を防ぐ仕組み

普段は見ることができない喉の内部構造を理解していただくため、喉の透明モデルを用意しました。


写真は、体を真横にする『完全側臥位(かんぜんそくがい)』をとった時の喉のモデルです。体を横にすると、口と肺の入り口が同じ高さに位置するようになります。この姿勢では、喉の側面(下側になる部分)に肺の入り口よりも低いところに、15〜20ccほどの唾液を溜められるスペースが生まれます。

このスペースに溜まった唾液は、重力によって喉の側面に保持されるため、肺の入り口に向かって動くことができません。

また、このスペースは肺の入り口の入り口よりも低い位置にあるため、重力に逆らって肺の入り口に入り込む心配がありません。



救急医療でも活用される『回復体位』の応用

完全な側臥位になった際に形成される『誤嚥が起きないスペース』を活用した姿勢が、救命救急で用いられる『回復体位』です。

救急隊員が意識障害のある傷病者に応急処置を行う際、最初にとらせるのがこの回復体位です。回復体位をとることで、万が一嘔吐しても嘔吐物が喉に詰まらず、口の外へ自然に排出されます。この原理を唾液誤嚥の予防に応用しています。


回復体位をとることにより、これまで吸引器で取り除いていた唾液が自然と口の外へ排出されるため、唾液吸引の回数を減らす(または不要にする)ことが可能になります。


この回復体位を日常生活に積極的に取り入れた結果、紹介したご家庭のご主人は誤嚥性肺炎での再入院がなくなりました。


横向きに寝る姿勢(側臥位)をとると、喉の構造上、唾液や食べ物が気管に入りにくくなります。これにより、唾液が誤って気管に入る「唾液誤嚥」や、それが原因で起こる「誤嚥性肺炎」を効果的に予防できます。



※今回のケースで紹介した側臥位の詳しい活用方法や手順については、専用サイトをご覧ください。


申し訳ございません。ただいま、専用サイトは工事中です。今しばらくお待ちください。


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