実話:父の「美味しいなあ」が聞けて後悔なく見送れました
【これはある方の実話です。】
まずはこの2つの画像を見てください。


1つ目は、口から食べられなくなったお父様のようすです。「もう看取りかもしれない」。中心静脈栄養で890キロカロリーしか取れず痩せていってしまいました。
そして2つ目は小さなバースデーケーキの写真です。
この2つの画像を載せたのには、意味があります。
「もう口から食べるのは難しい」と言われているけれど本人は食べたがっている。もう看取りかもしれない。せめて最後、もう一度好きなものを食べさせてあげたい。どうしても。本当に無理なんだろうか?あきらめるしか無いんだろうか?
そんな風に思っている方、似た境遇の方に、ぜひ知って欲しい実際の話を紹介します。
【口から食べられなくなりました】
私は看護師です。父が誤嚥性肺炎になり、口から食べられなくなりました。私の父はもう看取りかもしれません。でも娘として口から食べさせてあげたいです。父の残された人生をQOLを考えたときに、口から食べる喜びをもう一度味わさせてあげたい。
父は中心静脈栄養で800キロカロリーしか取れていません。医師に栄養を増やす事はできないか相談したところ言われました。
「これ以上増やすことは難しい。唾液が多く処理がしにくいのはわかるでしょう。吸引が多い状態です。こういう状況なら栄養を減らし、水分を減らし唾液の量を減らす処置をやりました」
【私も看護師です・・・正しいと思いました】
私の勤めている病院でもたくさんの方が同じようにベッド上で吸引をされて過ごしています。今の施設で行っている事は間違いではありません。でも父は「食べたい」と言います。わかってはいるんですが、娘としては父の願いを叶えてあげたい。
【そして調べているうちに、この方法にたどり着きました】
それは「完全側臥位法」というものでした。
ホームページに載っていた電話に藁にもすがる思いで電話をしました。本当に食べられる可能性があるのかどうか相談させていただきました。話を聴いていただき「食べられる可能性があるかもしれない」と言うことで、そこから、「また口から食べてもらう」ことを目指すことにしました。やりとりやアドバイスをたくさんいただきながら、進めました。
まず取り組んだのは、唾液誤嚥を防ぐことでした。そして口から食べるためには、施設の協力も必要でした。教わった完全側臥位法の話をして納得いただき、協力もしていただくことになりました。
【また口から食べた日】
そして、実際に食べさせてみる日がやってきました。当日は施設の看護長も来てくださり、協力していただきました。Zoomでサポートをしていただきながら、また口から食べさせるための時間が始まりました。
完全側臥位になり、喉がゴロゴロしていないのを確認し、水を1口飲めました。約8ヶ月ぶりに口にした水はとても美味しく、父から笑顔が見え、とても幸せな気持ちになりました。
続けてとろみ水も飲みました。そして準備したヨーグルトを中間とろみ状にし1口ゴクリと飲み込むことができました。一口ほど食べた後、次に指定のゼリーを食べてくれました。
【父の「おいしいなぁ」】
中心静脈栄養から摂れていたのは、1日890キロカロリーほど。必要な栄養を少しでも口から補えるように、1日1200キロカロリーを一つの目標にしました。
足らない310キロカロリーを何を食べるか。アドバイスをいただき、ヨーグルト1カップ75キロカロリー、ゼリー1カップ125キロカロリーなので、面会時にヨーグルト1カップとゼリー2カップを食べることを目標にしました。1週間ぐらいかけて、目標が達成できればいいですと言われました。
妹と毎日交代で昼食を食べさせに通いました。そして3日目で達成できました。父が「食べたい」「おいしいなぁ」と言って食べてくれました。
ちょうど食べ始めて1週間目が父の誕生日。ケーキを用意し、クリームをヨーグルトと混ぜて食べてもらいました。まさか誕生日ケーキを用意できるとは思ってもいませんでした。

その後、父は亡くなりました。最後に、父が嬉しそうに「おいしいなぁ」「食べたいなぁ」と言って食べてくれたこと。その姿を見ることができて、私たちも「また食べてもらおう」と考えて良かったと思っています。せめて最後、後悔なく見送ることができたと思います。






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